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国分寺を歩く:チーズケーキの形をした私の想像

某イベントのため、東京へ向かう予定をたてていた矢先。
期間限定サイト[村上朝日堂]を見ており、それがきっかけで昔のエッセイを読み返していたら、ふと気になる項目が出てきたのです。

「以前国鉄中央線の線路わきに住んでいたことがある。それもちょっとやそっとのわきではなく裏庭を電車が走っているといってもオーバーではないくらいのわきである」by村上朝日堂の逆襲(新潮文庫)より引用

村上氏が小説家になる前、国分寺でジャズ喫茶を経営していたことはとても有名なお話です。その時代、村上夫妻は2本の線路に挟まれた土地に住んでいたことが、超短編集「ランゲルハウス島の午後」(講談社文庫)のひとつに書かれています。

そこで湧き上がった疑問。

はたして「2本の線路に挟まれた土地」とはいったいどのようなものなのか?
そしてもしまだ家が残っているとしたら、どんな家なのか?

せっかくなので、実際に行って見てきました。

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JR中央線国分寺駅下車。生まれて初めて足を踏む土地です。新宿駅から約20分くらいでした。
大体のありかの予想をつけて歩き出す。

線路沿いの道はちょっとした散策コースになっていました。

◎国分寺は意欲的に「自然を残す」ことをされてらっしゃるらしく(散策中の看板に書いてありました)街にはかなりの緑がありました。うぐいすもよく鳴いてたし、変わった鳥もいた。くちばしがオレンジ色した鳥です。もしかして東京ではめずらしくなかったりして。

時は休日、朝の気配がまだ少し残る時刻です。周りは住宅がたくさん並んでいますが、それ以上に緑(小さな森と言っても良いくらい)がたくさんあります。ビルもあるけど、町の色にはとてもマッチしたたたずまいです。今猛威をふるってどんどんできている(少なくとも私が住んでいるところは)ショッピングモールは付近には見当たりませんでした。
庭掃除をする、木のほうきのすれる音、2階の窓からふとんをたたく音。電車が頻繁に通る音と共に、心地よく耳に入ってきます。これが車が頻繁に通る音だったらこんな気持ちにはならなかったと思う。

線路の上を通る道路(橋)を見つけ、渡る。
片方は駅。もう片方は少し進んだところでふたまたに分かれていく線路が続く。

ん?

ふたまた?
国分寺を歩く:チーズケーキの形をした私の想像_a0010296_1351396.jpg

とにかくここからでは遠すぎてよく分からないので、近くまで行くことにする。

そこへ近づくにつれて、気持ちがだんだんハレになってくる。

そして・・・
ここか?ホントにここか?ここなのか!

と見つけました。

確かに、かなり変わったところです。
というわけで近くまで行って撮った写真。
国分寺を歩く:チーズケーキの形をした私の想像_a0010296_136194.jpg

反対方向からの写真。
国分寺を歩く:チーズケーキの形をした私の想像_a0010296_1373730.jpg

写真では見にくいのですが確かに三角の土地です。線路もすぐそばです。電車もひっきりなしに走ります。

分かりにくいので散策マップをごらんください。
国分寺を歩く:チーズケーキの形をした私の想像_a0010296_222149.jpg


※余計なお世話ですが、この家はずっと変わってないないのでしょうか??風貌からすればかなりの年期が入った感じを漂わせています。しかし、もしリフォームするにしても、車とか入れるのかなあ?まさか終電後に工事するわけにもいかないし・・・といらぬ心配をしてしまいました。

はっきりとした根拠がないのであくまで「たぶん」としか言いようがないのですが、たぶん、おそらくここなんでしょう、と満足し、西国分寺まで歩きました。


約30年前、この街で小さなジャズ喫茶を経営していた無口な主人は、今、世界中の人たちの心を魅了する小説を書いている。そして今でも書き続けている。
魅了されている世界中の読者のひとりである私は、彼と同じ時代に生きていることをとてもうれしく思う。だってできたての彼の小説を(マニアックな事を言えばぴかぴかの初版を手に入れ)すぐに読むことができるんだもの。
そして、こんな風に私を動かして、こんな風に想像させてくれるという、小説を読んだ時に感じる喜び意外の新たな喜びを、私の中から呼び出してくれる彼の小説を、文章を。これからもずっと愛し続けることを確信したのでした。

しかし東京で思わぬ散策ができました。とても楽しかったです。
by ayahaya | 2006-05-17 01:47 | 独りよがり情報